「お前は勘当だ! 二度とこの家の敷居をまたぐな」といったとしても、次男は被相続人の子として法定相続人となります。
ですから、なんら措置もとらずに放置していると法定相続分の割合で次男も財産を相続することになります。
民法では、実親子の関係を失わせる制度はありません。このような場合、もっとも強力な手段は、「相続人の廃除」です。
配偶者だったら離婚、養子だったら離縁という方法により、身分関係を失わせ、相続人ではなくするという方法もありますが。
「相続人の廃除」は、被相続人自らの請求に基づいて、家庭裁判所がその者の相続権を剥奪する制度です(遺言によっても利用できます)。
ただし、「相続人の廃除」が認められるためには、相続人にあたる者に廃除原因があることが必要になります。
廃除原因は、「被相続人に対して虐待・重大な侮辱を加えた場合、または相続人に著しい非行があったとき」とされています。
廃除原因にあたるかどうかは、客観的に現在の社会常識から見て判断されます。被相続人にも責任の一端があるような場合や一時的な場合などは認められません。
もっとも、強力な手段である「相続人廃除」が認められるためには、客観的に現在の社会常識からみて「廃除原因」があることが必要になります。
「虐待や重大な侮辱、著しい非行」が認めらない場合の次の手段は「遺言」です。
遺言によって、財産が承継されないようにします。
もっとも、兄弟姉妹以外の配偶者や子、父母には遺留分という制度で法定相続分の半分が保障されていますので、「遺留分減殺請求」されると、遺留分まではその者の相続権が回復することとなります。