遺留分とは、被相続人の財産のうち、兄弟姉妹を除く相続人が最低限確保できる相続財産に対する割合のことです。
例えば、被相続人Aさんには、相続人として子Bさん、子Cさん、子Dさんがいるとします。
Aさんは、遺言で、すべての財産を子Dさんに相続させるとのこしました。
このとき、子Bさん、子Cさんは、何も相続する権利はないのでしょうか?
Aさんののこした子Dさんに財産をすべて相続させるという遺言は、子Bさん、子Cさんの遺留分を侵害していることになります。
この場合、子Bさん、子Cさんは、子Dさんに対して、遺留分減殺請求することにより、自己が最低限確保できる相続財産に対する割合を請求して取り戻すことができます。
このときの割合ですが、子だけが相続人である場合の遺留分の割合は二分の一となりますので、三人の子ですから、三分の一の二分の一ということで、六分の一となります。
※ 直系尊属だけが相続人の場合、遺留分の割合は三分の一となります。
※ 兄弟姉妹には遺留分はありません。
【遺留分減殺請求できる人】
遺留分減殺請求できる人は、自己の遺留分を侵害されている人(遺留分権利者)とその承継人です。
ですから、判例では、遺留分権利者の債権者などは、遺留分権利者が権利を譲渡するなどした場合を除いて、代位による請求はできないとしています。
【遺留分減殺請求の消滅時効】
遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から、1年間行使しないときは時効によって消滅します。
また、相続開始の時から10年を経過した時も同様です。
【遺留分減殺請求の行使方法】
判例・通説によると遺留分減殺請求権は形成権と解されていますので、その権利行使は、受贈者又は受遺者に対する意思表示だけで足ります。
裁判上の請求による必要はないということです。
しかしながら、前述の時効期間内に遺留分減殺請求を行ったという事実の立証のためには、受贈者等に対して、配達記録付の内容証明郵便によって行使する方法をとりましょう。
【当事者間の協議によって解決できない場合】
当事者間の協議によって解決できることが一番ですが、話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に対して調停申立をおこなうことにより解決をはかります。